稲尾さんが死んだ。

めざましテレビをなんとなく見てたんですけど、急な訃報に一気に目が覚めてしまいました。
福岡に住んでるホークスファンにはとても馴染み深い人です。
いや、ホークスファンでなくてもそうだと思います。
野球解説者とは別に、夕方の地元情報番組でご意見番として肩書きもありました。
主に主婦向けの番組だと思うんですけど、そこでの稲尾さんは解説者のときにとはまた違う雰囲気で、愛嬌があって、なんというかいい意味で砕けた感じで、野球を知らない人からも番組の顔として受けいれられてたんじゃないでしょうか。
それを象徴するようなFAXが番組に届いていました。

まだあまり喋ることのできないうちの息子が、この番組がはじまる度に「稲尾さんがはじまる」と言ってました。いつも暖かい笑顔の稲尾さんが大好きだったようです。

もちろんこの子供は、稲尾さんが数々の伝説を築き上げたものすごい野球選手だってことはわかんないです。
いろんな肩書き抜きにして、稲尾さんはいろんな人の身近な存在になってたんです。
ただ、そういうことに気付いたのは今日が初めてで、訃報をきいてからなんだかぽっかりと心に穴が開いてしまった感じがしたからだと思います。
そしてもう一つ、RKB野球解説者として、的確でわかりやすい解説でした。
時には稲尾さんと同じ投手には厳しいことを言う場面もありました。
当時、最多勝を争う杉内に対して、より高い要求をしてたのを覚えています。
福岡の球団のOBとして、やはりホークスに対しては特別な感情で見ていたのだと思いますね。
そんな中、今シーズンとても印象に残ってる場面があります。
稲尾さんが解説のホークスの試合で、もはや相手チームは覚えてないんですけど、その日も今シーズンのチームの不調さを象徴するような試合内容になってました。
すると、稲尾さんが呟いたんです。
「僕はホークスの実力を見誤ってたんだろうか。」
その言葉は衝撃です。
まず、おれ自身がホークスの実力は本当にこの程度かもしれないと思ってしまったこと。
もうひとつは、ただ呟いたことなんでしょうけど、稲尾さんが直情的にホークスへの失望感を表したということ。
尊敬する人の言葉としてはとてもしんどいものです。
今シーズンのホークスは結果を見ればわかるんですけど、とても稲尾さんのホークスに対する失望感が拭われたとは思えません。
まだまだやり残したことはあるというか、ホークスの強い姿を見届けたかったんじゃないかと考えると無念でたまりません。
所詮憶測にすぎないのですが、そういう意志があったのならば、ホークスはその無念を心にとどめておかないといけません。
平均寿命80前後ってところで70で逝ってしまうのはやっぱり早い気がします。
上で書いた通り身近に感じる人物でしたから、とても実感のわく、とても悲しい死です。
心からご冥福を祈ります。