井が登板前日にダルの奥さんから「有くんに投げさせてね」というメール受け取ったらしいです。
要は「負けてね」メールです。
WはSに返信した。
W「S、お前、本気で言ってるのか。」
思いも寄らない返信にSは戸惑い、こう返した。
S「そ、そんなの冗談に決まっているじゃない。でも、有くんが投げて欲しいという気持ちは本当だよ。」
Wはすぐに返信した。
W「今すぐ下の住所の場所に来て欲しい。SのDを思う気持ちは十分に知っている。Sの望みを叶えてあげられるかもしれない。」
そう送信したWの顔には不気味な笑みが浮かんでいた。
Sは「わかった。」とだけ返した。
それから数時間後、都内某所のある一室に二人の姿はあった。
S「とりあえず、あなたの言う通り来たけど、明日は本当に負けてくれるの?」
にやけながらWは言う。
W「実は僕は前から君のファンでね。今夜は君にそんな僕の相手をしてもらいたい。君も大人ならその意味がわかるだろう。」
S「そんな事だろうと思った。」
当たり前のようにそう言い放つSに、一瞬Wの表情が強張ったが、次の瞬間にはまた笑みを浮かべていた。
W「それなら話は早い。すぐに僕の所においで。」
S「ちょっと待ってよ、シャワーぐらい浴びさせて、急いで来たから汗をかいているの。」
やれやれといったそぶりでWは言った。
W「その必要はない。僕はアスリートだよ。汗のにおいには慣れているのさ。」
S「せっかちな人ね。野球選手ってみんなそうなのかしら。」
W「君の旦那だって、そうだろ。」
二人は少し笑い、そして意を決めたかのように向き合った。長いようで短い夜が始まる。
W「じゃあ、始めるよ。僕が先に動くから。」
S「どこからでも攻めてくるといいわ。」
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W「ふふ、ほら、ひっくり返すよ。・・・どう、こんなにも、すごいだろ。」
S「はあ、そ、そんなの、思っても見なかった。・・・す、すごい。」
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S「そ、そんな、隅の方を攻めるなんて。」
W「ふふふ、知っての通り、僕は野球でもコーナーを攻めるピッチングが得意なのさ。それはこんな場面でも同じ事。ほらっ、どうだい。」
S「こ、こんなに、も、もうやられちゃいそうっ!」
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事が済み、部屋にはたばこの煙が立ち上っていた。
S「はあ、もう、目の前が真っ黒だわ。」
W「ふふふ、どうやら、僕の勝ちのようだね。」
S「ここまでやられてしまったら、逆に清々しい気分だわ。ありがとう。またお相手して頂戴。」
W「こっちこそ感謝したいよ。ファンである君とオセロで対決出来るなんて。でも、勝負は見ての通り黒の僕の勝ちだから、明日は遠慮せずに投げさせてもらうよ。」
S「うん、いーよー。がんばってねー。」
W「ありがとー。」
S「それじゃ、もう帰るねー。おつかれー。」
W「おつかれー。」
翌日、Wがチームを勝利に導いたのは有名な話だ。




なーんて話があったとかなかったとか。