田中正義の記事。

1年目の春季キャンプで苦手意識を持っていたショートスローや、フィールディングなどの粗さが目立ち、その自信のなさがマウンド上で顔をのぞかせた。その後は右肩や右肘の故障にも悩まされ続けたが、21年のシーズンに入り吹っ切れたような表情が目立つようになった。ファーム施設で顔を合わせると、ジョークを飛ばして来たりするようになったのも、以前ではあまりなかったこと。昨季は18試合登板で0勝0敗、1ホールド、防御率2・16と今季への飛躍を感じさせたが、しぐさの変化が好成績の要因につながったと感じる。

 一番印象的だったのがマウンドでの笑顔。「リラックスさせる一種の方法」として取り入れ、最初は硬く引きつっているように見えたが、徐々に様になってきた。1月の自主トレでは千賀に弟子入り。「どういう気持ちでチームを背負っているのか」と、“エース道”も学ぶ。その千賀だけでなく、元チームメートのサファテや内川が伸び悩む右腕に可能性を感じ、言葉をかけてきた。“未完の大器”が殻を破るときが来た。

 あの時の衝撃から間もなく5年がたつ。昨季限りで担当記者から外れたため、目にすることがかなわなかった初勝利。プロ6年目の今季、心の底からの笑顔がはじける日が来ることを期待している。

本当に持ってるものがすごい選手。
後は精神力と変化球と野球勘だと思う。