生きながらにして

地獄を見ましたよ・・・。
某所WC、洋式便所個室にて、然るべき用を済ませたのですが、その瞬間、目の前の扉の上方付近に不穏な影が現れました。
その影は、黒光り(茶光り)の我が天敵、ヤツです。
半径1メートル以内の至近距離、今すぐにでもその場を逃げ出したかったんですがね。
何せ、ヤツは扉を制圧していまして、個室を出る=扉(ヤツ)に近づくという状況だったのです。
何とか扉に手をかけたとしてもヤツは頭上。
その瞬間に頭にダイブ、そんな事も無きにしも非ずです。
だから、逃げたくても逃げ出せなかったのです・・・。
しかしながら、動かない事が最善ではありません。
常に、嫌でもヤツの姿が視界に入ってきます。
目を逸らす事は可能です。
ただ、視界からヤツを外した時、ヤツの行動を把握出来ない怖さがあるんですよね。
目を逸らした瞬間に、ヤツが牙を剥いてこちらに襲いかかってくる事も有り得ます。
だからまあ、目を逸らしたくても逸らせません。
じっとこちらを見つめる警戒心の強い野良猫と同じ心境ですね。
まあ、凝視しているからといって、ヤツが顔面目掛けて飛んでくるかもしれないという恐怖が拭われる事はないんですが。
助けを呼ぶという手も考えました。
しかし、個室の内側に居るヤツに対して、外側からどんなアクションを起こし得ようか。
悲劇しか考え付きませんでした。
トイレットペーパーの補充とはわけが違うのです・・・。
そんなわけで、状況は全くの八方塞がり。
逃げたいのに逃げられない、見たくもないヤツを目の前にして、まさにそこは地獄でした。
終。

その後、ヤツが蝶番方向に進路を取った事から、退路が開けました。
こちらへの襲撃はないと確信すると、内開きの扉を慎重に開け、身を細めて素早く脱出。
なんとか事なきを得ました。
便座の上で身動きがとれなくなった時には永遠に感じられた恐ろしい時間。
実は脱出までの間、10分しか経っていなかったという・・・。
本当に怖かった・・・!