卵かけごはん

もしかすると、おれは卵を産む事になるかもしれません。
もう一週間連続くらいで食べ続けています。
理由は多分、手軽なくせにくそうんめえといった所でしょうか。
こんな卵かけごはんです。
まず、どんぶりに少量のメシを投入します。
本当に少量です。
しゃもじの端にちょこっと乗せるような感覚です。
これを見た人は大抵、「どんぶりだってのに、それだけしかメシを入れないなんてなんだかおかしいよ。これだから日本人ってのは。」と言います。
すると、すかさず言い返します。「全ての日本人がこんな風じゃないんだよ。それにしても君の国のコーラは多すぎる。」
彼がコーラについて考えている隙に、どんぶりに卵を一つ割って入れます。
そして、お箸でぐるぐると掻き混ぜます。
気が遠くなるほど掻き混ぜます。
何かを考えながらでも、無心でもどちらでも構いません。
とにかく混ぜ続けます。
そして、目の前が真っ白、もしくは真っ暗になる直前で混ぜるのをやめます。
どんぶりの方を見ると、混ぜ合わせた卵とごはんが空気をたっぷりと含み、かなりふっくらした感じに見えるでしょう。
無心に混ぜていいからといって、ふとトイレに入って混ぜ続けてはいけないという事です。
混ぜ終わると、次はそのどんぶりに醤油を注ぎます。
おれの場合は、賞味期限が3ヶ月ほど過ぎた卵かけごはん専用の醤油でした。
別に賞味期限云々の件にこだわりはありません。
購入時(もしくは譲り受けた時)に卵かけごはんに対する情熱がそれ程なく、醤油の賞味期限3ヶ月を過ぎた今、たまたま情熱が最高潮に達しているだけの話です。
醤油はうんざりするほど大量に注ぎます。
これを見た人は大抵、「やめなさいっ!それ以上入れ続ければ、あなたが・・・、あなたの体が・・・!」と言い、銃口をこちらに向けます。
おれはそれを無視し、やがて注ぎ終わると、「君が銃口を向けるのはこっちではないはずだ。君の国を守るためにその銃口は巨悪に向けられるべきなんだ。」と告げます。
彼女が世界平和に向かった隙に、またどんぶりを混ぜます。
今度は卵全体に醤油が行き渡る程度です。
気軽なものです。
ここで少量しかメシが入ってないどんぶりに通常の量のメシを追加します。
そして、追加したメシに卵が行き渡るように、また気楽に混ぜれば出来上がりです。
ここにきざみノリなんかをふりかけると、さらにうんまーです。
そんな卵かけごはんです。
このごはんがおススメかどうかと言われると、おススメできません。
醤油の賞味期限は切れているんです。
賞味期限が関係なくても、明らかに注ぎすぎなんです。
ものすごく濃い味で、その辺の味覚に関してはおれ自身が病気なんだと思います。
インスタントラーメンを、お湯を入れてすぐに食べ始める人間が病気じゃないはずがありません。
まあしかし、メシを少量だけ入れて卵を入れて混ぜる件はおススメかもしれません。